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WSR'94 Jona Sun 参戦日記
This corner, text written by Azuma.N (Send mail to : NOW CONSTRUCTING)
●車検
ブレーキテストを22mギリギリでクリア。
一発で車検をクリアし、さいさきのよいスタートをきりました。

●タイムトライアル
本番前に無理をして「Jona Sun」を壊さないようにと、余裕をもって無事終了。
何事もなく走り終えたことに満足して、だれもタイムを見ずにピットに帰ってきてしまいました。

●大会前夜
本戦にむけて、NEWチェーン、NEWタイヤをおごってやります。
しかし、空気入れがなかったため、深夜作業で明りの灯っている数少ない他チームのピットに借りにいきます。
そして、なんとか借りることのできた空気入れは、いわゆる自転車用の空気入れ に気圧計のついたもの。
これで4kg/m2入れるわけですが、普通の車の空気圧でも2.5kg/F前後。
4kg/m2を人力で入れるというのは想像を絶するつらさ。 しかも、空気入れのタンクとタイヤの気圧を同程度に保っておかないと、空気を入れるつもりがタイヤから空気が逆流しはじめます。
さらには、3kg/m2を超すとレバーを押す力もかなり必要になります。そこで、男性メンバー全員が空気入れの前に一列に並び、体力の続く限りシュコシュコしたら、即座に気圧の下がらないうちに次の人にタッチ。これを繰り返し4本のタイヤに空気を入れ終えたのは、午前3時。そして、空気入れを貸してくれた横浜国大チームに返しに行った時…
「えーっ。これで4kg/m2も本当に入れたんですか!?、 …これ、メーターいかれちゃってるんですけど。」
…いったい何kg/m2入れたんでしょうか?

●第一日目
なんとか無事にスターティンググリッドについたJona Sun。
夏の日差しをうけ、順調に周回を重ねていきます。
5周を終えた時点ではまだ、4時前。
しかし、余裕をもって早めに切り上げます。
すると、お隣のピットの潟郎チームから「まじめにやろーよ」とおしかりを受けて しまいました。
そして、この日はNHKのアナウンサー小平桂子アネットさんがピットに取材に来てくれました。

●第二日目
あいにくの曇り空。
しかし、Jona Sun には昨日の貯金で他チームよりもバッテリーに余裕があります。 曇りのためか各チームともペースダウン。
そして、9時を過ぎ5番目に入ってきた見覚えのある車…「なんかJona Sunみたいな車が来るねぇ」「うん似てるねぇ」まさか37番手からスタートしたJona Sunがこんなに早く戻ってくるはずがない、そう思っていたのがBS-1での生放送開始にあわせ るかのようにJona Sun は、放送で見る限り1番目に戻ってきたのです。
「みんな曇りだからノロノロ走ってたんで、Jona Sun はバッテリーが余ってるって聞いてたんで、驚かそうと思ってみんな追い越してきちゃいました」とファーストドライバーの加賀谷さん。
この日はこんな嬉しいハプニングもあり、無事5周を終え、この日も早々とレース終了1時間前の4時に31位でレースを終えました。

●第三日目
今日までノートラブルでレースを続け、グリッドも少しづつ上がり順調に最終日を迎 えました。
この日も快晴、さらに今日は明日にむけてバッテリーを残す必要はありません。
「今日はレースをしよう」この一言でバッテリーが空になるまで本気で走ることにな りました。
昨日までとうって変わってペースを上げ、2時には6周を終え運命の7周目へと入っていきました。予定では3時過ぎに戻ってくるはずです。
それにあわせて、ピットにあるMTBでコース横の側道を走ってJona Sun を迎えに行きました。
しかし、約7〜8km走りJona Sun に会った時、期待していた加賀谷さんの笑顔はなく、悲痛な顔の加賀谷さんが「バッテリーがやばいんだ。引っぱるからロープ持ってきて」その一言でいま来た道を全力で引き返し、ピットへとむかいます
。運の悪いことに無線もこの周回ではまったく効かなくなっていたのです。
「ロープ! Jona Sun が止まりそうなんで、牽引用のロープを下さい」コース越しに何度か叫びます。
やっと状況がおかしいことに気付いたメンバーが側道にやってきました。
ロープをもってまた全力でMTBを飛ばします。メンバーもみんな必死に走ってJona Sun を迎えにいきます。
一方Jona Sun はもう7kmというところでバッテリーが上がり、加賀谷さんが一人で押します。そして約5km手前の地点でMTBとJona Sunが合流。
必死で引っぱる加賀谷さん、連日の徹夜作業と暑さで集中力が切れた瞬間Jona Sun を 中央分離帯のブロックに激突させてしまいます。しかし4時までにゴールしないと1周減算のペナルティーになってしまうので、そんな事は気にしていられません。
やがて走ってやって来たメンバーとも合流します。
しかし、Jona Sun を引っぱるこ とのできるのはドライバー一人です。
みんな必死で応援しながら走ってきます。 「3・2・1・0…これ以降のゴールは認められません」皮肉にもゴールまで100mあ まり、ちょうどJona Sun のピット前でタイムリミットになってしまいました。
チームメンバーの女の子達は、みんな目を真っ赤にして泣いていました。
この日のJona Sun は6-1の5周、3日間で15周を走り終えました。

●後日談
「加賀谷さん、なんで俺がロープ持ってった時、もうロープ持ってたんですか?」
「え?いや、側道にロープ捨ててあってさ、直接渡すとまずいと思って捨ててあったんでしょ?」
「えっ?俺そんなことしてませんよ。手にロープ持ってたじゃないですか」
「ウソ!?じゃあのロープは?」
「なんか俺達、他のチームに悪いことしたんじゃありません…?」
「…そんなことないよ」
「…そうですよね」



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