ソーラーカー講座 タイヤについて
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タイヤはソーラーカーの中で唯一接地し、その駆動力を路面に伝え、その摩擦力により
推進力を得る道具となり、さらには車体の全重力を支える足となります。
また、摩耗が激しく、パンクも起こるため、最も使い捨てにされる部品です。
ソーラーカーにおいて、タイヤの選定上最も重要なポイントは、車体重量を支え得る強
度、次に転がり抵抗と思われます。
まず、転がり抵抗についてですが、基本的にタイヤはゴム製で、中に空気を含んでいま
す。タイヤは、重量と空気圧との関係で接地点が変形、つまりつぶれてしまいます。
タイヤが回転することによって、このつぶれた地点は移動しますが、そうするとタイヤ
は元の形に戻ろうとまた変形します。
そしてその抵抗は回転が速くなる、つまりは速度の上昇にともない増加します。
と、いうのは要は回転が速くなると、変形→戻るの行程が速くなり、つまりは変形部が
完全に元に戻るよりも速く、次々に回転してしまうことになるのです。
また、タイヤ自体の摩擦力ももちろん抵抗になり、そのためソーラーカーではなるべく
細くてトレッドパターンのないものが選ばれます。転がり抵抗はタイヤそれぞれの特性
により一定で、さらにその径、つまりタイヤに大きさによって変化します。同じ種類の
タイヤであれば、より径の大きいもののほうが抵抗は小さくなります。
一般的にソーラーカーで使用されるタイヤは、20インチのものが多いようです。
ここまで読んで気付いた方もいるかとは思いますが、
それならば、タイヤが硬いほうがより変形しにくくなり、また接地点も少なくなって摩
擦も減ります。
そういった考えの元で、ソーラーカーのタイヤの多くは、普通のタイヤに比べてはるか
に高い空気圧の入るタイヤを使用します。
ちなみに、大潟村ソーラーカー講習会での大薮さんは、『鉄の車輪をソーラーカーに使
おうかと考えた事もあります。』とおっしゃっていましたが、それは以上のような考え
の上で、変形の少ない硬い鉄のタイヤが有利だと示唆しています。
しかし、大薮さんは次のようにもおっしゃっていました。『タイヤの空気圧はどんどん
上がる傾向にありますが、路面からのショックを吸収することをドライバーのために考
えて、あまり高くしすぎないほうがいいでしょう。』タイヤが何故ゴム製なのか、それ
は一種サスペンション的な要素をもっているからです。タイヤが石から木へ、そしてゴ
ムへと進化した過程を考えればわかることです。
そして、タイヤに目がいっても、以外と気が付かないのがホイールです。かつてのソー
ラーカーでは自転車用のタイヤを流用することが多く、ホイールもスポーク式のそれが
多かったのが実状です。しかしソーラーカーの場合は軽くても約200kgはあります。自
転車は一輪あたり50kg支えればいいほうだと思いますが、ソーラーカーは平均250kg
以上、一輪あたり80kg近く支えなくてなりません。そこで、専用のディスク式のホイー
ルの使用をおすすめします。さらに、もしもスポーク式のホイールを使用しているのな
ら、
空力的な面を考慮する上、ZDPの池上さんいわく、『カッコイイから(笑)。』という
理由上、付けたほうがいいでしょう。
...かっこいい?
さらに最近のマイレッジマラソンの上位入賞車両を見ると、タイヤカバーをしている車
が多く、ソーラーカーにおいても多くのチームがタイヤを車体内に隠すようにしていま
す。
それは、からです。
タイヤは他の部分と違い、回転運動をしているためにタイヤの最も上の部分は空気抵抗
について、車体の速度+タイヤの回転する速度に比例し、他の動かない部分に比べてタ
イヤの回転速度分多いのです。
空力よりもタイヤの転がり抵抗や重量を重視するエコランでは、多くの車がタイヤむき
出しですが、速度が速く空気抵抗の大きいソーラーカーでは、タイヤをすっぽりと隠し
ている車が一般的です。
より空力的な話はまた後ほどしますが、このページを読んだ人達の間で、タイヤカバー
付きのエコノムーバが流行ったりして、上位入賞なんかしてくれるとうれしい次第です。